流々転々ruru-ten-ten
〜ある生産管理の担当日記〜


2.【矛盾した「願い」】

  まずはじめに、私たちの部門の「願い」と、私たちをとりまく社内の諸部門の「願い」が矛盾していることを、指摘させていただく。私たちの取り扱う製品は、一台あたりの単価が高く、専門的な機械で、時代の流れは、衰退産業へと向かっていたことは、先程説明した。

 生産管理の願い :必要な在庫量の管理 → [製品在庫の削減]
 工場部門の願い :工場売上の増加 → [製品在庫の増加]
 営業部門の願い :お客様に「はい、いつでも出荷できます」と言える → [潤沢な製品在庫]


  つまり、私たち生産管理部門は、「もっと在庫を持ってくれ」という営業部門と、「もっとつくれるぞ」という工場との間に挟まれながら、会社の利益のために、日夜、矛盾と格闘しているのである!(おおげさだが、有る意味、ポイントを抑えた表現ではある・・・)

  わが社「B」の全体目標は、もちろん、現在から未来にわたる継続的な利益の増加だ。しかし、敢えて部門の目標をあげるのであれば、それは、「製品在庫の削減」である。一口に在庫といっても、部品、中間製品、製品に分けられるかもしれないが、私の所属していた部署に限っていえば、製品在庫の削減こそが、最も重要なミッションであった。一般的には、生産管理部門の役割は、上述の在庫の削減のほかに、生産負荷の標準化、生産リードタイムの削減などがあげられると思う。もちろん、それらも考慮しながら、業務を行っていた事を付け足しておきたい。

  生産管理部門の仕事の本質は、コミュニケーションであると思う。納期の遅れや、オーダーの進捗状況を見て「あれ?おかしいな」と感じたことに対して、迅速に、積極的に動くことが求められる。そうでないと、困るのは、結局、自分だからだ。工場の製造部門との信頼関係は大事だ。営業からの無理な要求に対応するためには、工場側の協力が不可欠である。

  なお、「営業からの無理な要求」と上述してしまったが、実際には、大事なお客様からの要求である。しかしながら、生産管理部門は、どちらかといえば、工場よりの部門であるため、営業を仲介してのみしかお客様の要求が理解できない為、どうしても、営業が無理難題を工場に押し付けている、といった感情を払拭できずに、日々の作業をしている。由々しき問題では有る。


トップページへ戻る


mailto:kandasoba@yahoo.co.jp